転生したのに0レベル
〜チートがもらえなかったので、のんびり暮らします〜


443 新しいおつまみは、僕がよく知ってるのだったんだよ



 それからちょっとの間、いろんなおつまみが出てきたんだよ。

 でもそん中には特に珍しいものは無かったもんだから、ニコラさんたちも安心して食べてたんだ。

「お待たせしました。こちらが先ほどお話した、新しいおつまみでございます」

 そんな所に給仕のお姉さんが、さっき言ってた新しいおつまみってのを持ってくてくれたんだ。

 でもね、テーブルに置かれたのにはボウルをひっくり返したような蓋がのっかってて、どんなのか解んなかったんだよね。

 だから僕、給仕のお姉さんがその蓋を取ってくれるのをすっごく楽しみに見てたんだけど……。

「あれ?」

 でもね、二の下から出てきたのがガラスのコップみたいなのに一杯刺さってる兵隊さんのおやつだったもん。

 だから僕、なんでこれが新しいおつまみなの? って頭をこてんって倒したんだ。

「ふむ。やはりこれであったか」

 そんな時、お爺さん司祭様がこんなこと言ったんだよね。

 って事はさ、司祭様はこれが出てくるって思ってたのかなぁ?
 
 そう思った僕は、聞いてみる事にしたんだ。

「司祭様。これが出てくるの、解ってたの?」

「うむ。前に君がヴァルトにこの菓子の事を話したと聞いておったからのぉ。大体の予想は付いておった」

 お爺さん司祭様が言うにはね、これは兵隊さんのおやつじゃなくって、僕が村のみんなに教えてあげた油を練り込んで作るお菓子の方なんだって。

「そうなの?」

「うむ。前々からわしも、村でこの菓子を酒のあてにしておるからのぉ。先ほどの説明を聞いて多分そうなのであろうと思っておったのだよ」

 このお菓子、ちょっと翁長かすいた時にいいからって、村のみんなはポシェットに入れて持ってくんだよね。

 それにね、僕んちみたいに子供がいるお家だとジャムとか生クリームみたいな甘いものをつけて食べるもんだから、僕、おつまみにするなんて思わなかったんだ。

 でもお爺さん司祭様は、チーズを温めてつけたり、僕が教えてあげてから食べるようになったブラックボアのレバーを塩や香辛料と一緒にペーストにしたものをつけたりしておつまみにしてたんだって。

 だから給仕のお姉さんのお話を聞いた時に、きっとそうなんだろうなぁって思ったんだってさ。

 でもね、そんなお爺さん司祭様のお話を聞いて、給仕のお姉さんがすっごくびっくりしたんだよね。

「司祭様、このおつまみの事をご存じだったのですか?」

「知っておるも何も、これはこの子が考え、フランセン老に伝えたものだ。そこから考えるに、あやつがこの子の名で商業ギルドに登録し、それをこの宿の料理長が採用したといったところであろうな」

「はぁ、そうなのですか」

 給仕のお姉さんも、まさか僕がこんなお菓子を考えたなんて思ってなかったみたい。

 だからすっごく感心して、

「そうなの。こんなに小さいのに、すごく賢いのね」

 って僕の事をほめてくれたんだ。


「うむ。流石はプロが作ったものと言ったところかのぉ」

 お菓子の方は村でみんなが食べてるもんとほとんどおんなじだったんだよ?

 でもね、それをつけるものが全然違ったんだ。


 さっきも言った通り、普通のお家では何にもつけないか、甘いものをつけて食べるだけでしょ?

 それにおつまみとして食べてるお爺さん司祭様だって、簡単に作れるものをつけて食べてるだけなんだ。

 でも給仕のお姉さんが持ってきたものはそれとは全然違って、すっごく手の込んだものだったんだよね。

「これは干し肉を叩いてほぐし、それを絡みやすいように短く切って油で練ったといったところかのぉ?」

「こっちはさっき出てきた柔らかいチーズん中に、何かのお野菜が刻んで入ってるよ」

 こんな風にね、このお菓子にだけじゃなくって、パンとかに塗ってもとってもおいしいんじゃないかなぁって言うものが何皿か、ちょっと深めのお皿に入ってついてきたんだ。

 それにね、お菓子の方も村で作ってるのみたいにまっ平らじゃなくって、くぼんでるような形に焼いてあるんだよ。

 そのおかげで多分村の奴だとつけた時におっこっちゃうんじゃないかなぁってのでも、ちゃんと救って食べることができるんだ。

「村のとおんなじだけど、全然違うね」

「うむ。金をとるだけあって、しっかりと仕事をしておるな」

 そう言って僕とお爺さん司祭様はパクパク食べてたんだけど、

「あれ? ニコラさんたちは食べないの?」

 でもね、何でか知らないけど、ニコラさんたちの前にあるお菓子は全然減ってなかったんだよね。

 だから僕、どうしたの? って聞いてみたんだ。

 そしたら、

「えっと、その……」

「今までのおつまみがおいしすぎて……」

「うん。ちょっと食べすぎたと言うか……」

 なんと3人とも、さっきまでのおつまみがおいしかったからっていっぱい食べすぎちゃったみたい。

 だからね、これ以上食べると後でご飯が食べられなくなるんじゃないかって思ったんだって。

 そう言えばニコラさんたち、おいしいおいしいっていっぱい食べてたもんね。

 でも、あれ?

「ねぇ、ちょっと聞いていい?」

「いいけど、何が聞きたいの? ルディーン君」

「えっとね、ニコラさんたち、お酒とか生ハムとかが出てきた時、ほんとに食べてもいいのかなぁ? なんて言ってたでしょ? なのにご飯はいいの?」

 そう。ニコラさんたちは生ハムとかを見て、ほんとにこんなモノ食べてもいいのかなぁって言ってたでしょ?

 だから僕、ご飯の時もおんなじこと言うんじゃないかなぁって思ってたんだ。

 でもニコラさんたち、このお菓子を食べちゃったらご飯が食べられなくなるかもって言うんだもん。

 何でご飯だったら大丈夫なんだろうって僕、思ったんだ。

「ああ、確かにそうね」

 だからご飯ならいいの? って聞いたんだけど、そしたらその理由を教えてくれたんだ。

「今まで出てきたものは、食べたら別にお金を払わないといけないものだったでしょ?」

「そうよね。だから私たちは、こんな高いものを本当に食べてもいいのかなぁって思ったのよ」

 そう言えば今食べてるのって、お爺さん司祭様がお金を払ってくれるものばっかりだよね。

 だからお姉さんたちは、こんな高そうなもの、食べたらだめなんじゃないかなぁ? って思ってたんだって。

 でもね、後から出てくるご飯は、この宿屋さんに泊まるお金の中に入ってるでしょ?

 だから逆に、残しちゃうともったいないんだってさ。

「なるほどのう。そういう考え方もあるのか。いや、ある意味合理的な考え方とも言えるか」

 これにはお爺さん司祭様も、確かにそうだよねって頷いてるんだよ。

 でね、そんなお爺さん司祭様に、ニコラさんたちはこうも言ったんだ。

「それにですね……実を言うと今まで出てきたものに驚きすぎて慣れてしまったと言うか」

「もうどんなものでも美味しく食べないとそんなんじゃないかって、私たち、そんな気持ちになってしまってるんですよ」

 そう言って、ちょっとすまなそうに笑うお姉さんたち。

 それを聞いたお爺さん司祭様は、何にも食べられないよりいいよって笑ったんだ。



 ずっと気後れしながら食べていたお姉さんズ、とうとう観念してこの状況を楽しむ事にしたようです。

 ただ、それはまだこの宿での食事についてだけなんですよね。

 当然彼女たちの試練はこれで終わりではありません。

 と言うか、この宿の中でも、まだ試練は残っているんですよ。

 ニコラさんたちは、この試練を無事乗り越えることができるか!? こうご期待w


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